愛国学園短期大学

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2022年07月20日

栄養士の主な就職先とは?病院・食品メーカーなど活躍の場を解説

今回のテーマは、栄養士の主な就職先です。

前回までのコラムでも解説してきた通り、栄養士は非常に幅広い職域で必要とされ、活躍していますので、就職先も多岐にわたります。さらに、妊娠・出産・子育て・介護などのライフイベントがあっても両立することが可能だったり、自分のタイミングで再就職が可能だったりと、人生100年時代といわれる長い人生を考えた時にもおすすめの職業といえます。

また、経験が増えれば増えるほど専門の知識や技術が身に付くので、ますます免許が活きていきます。さらに、食関係の仕事では、免許を直接利用しない職種でも採用に有利だったり、待遇がよかったりすることがあります。

それでは、栄養士の主な就職先・活躍できる場所、仕事内容をみていきましょう。可能な限り解説していきますが、あまりに多岐にわたるためすべてについて網羅できないことをあらかじめご了承ください。

 

栄養士の主な就職先・活躍の場

病院で栄養指導をする女性

前回は、栄養士と管理栄養士の違いを解説しました。「「栄養士」と「管理栄養士」の違いとは?取得方法・仕事内容など

このコラムから読んでくださった方のために概要をまとめると、

栄養士は、主に健康な個人や集団を対象に食事の管理を中心とした栄養管理をするのが主な仕事です。献立作成・栄養計算や食材の発注、調理作業を中心に、時には調理師やパート・アルバイト従業員に対して栄養学の視点から調理の方法を指導することもあります。

これに対して、管理栄養士は健康な人だけでなく、ケガや病気を患っている人を対象にした栄養の指導や食べ物が飲み込みづらくなっているお年寄りなど特別な配慮を必要とする人の給食管理や栄養管理を行います。また大規模な給食施設では管理業務や労務管理などの仕事も任されます。そのため、免許の違いによって、仕事内容が異なる場合もあります。

それでは今回のテーマである栄養士の主な就職先について、次の順に解説していきます。 

  • 福祉施設(高齢者施設や保育園など)
  • 学校
  • 病院
  • 勤労者福利厚生施設
  • 給食受託会社
  • 食品メーカー
  • ドラッグストア(薬局)
  • 行政・地域
  • スポーツチーム・施設
  • 栄養士・管理栄養士の養成施設、研究機関等

福祉施設

社会福祉・介護施設には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの高齢者施設、障がい者・障がい児施設、保育園や児童養護施設などの児童福祉施設などがあります。ここでは、施設で過ごす人たちの食事の用意全般を担当し、通常の調理以外にも流動食やきざみ食などの利用者に合わせた食事形態にして提供することもあります。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設、障がい者・障がい児施設においては、特別な配慮を必要とする人の栄養管理が求められる場合もあります。そのため、医療分野と同様に資格の違いによって仕事内容が異なることもあります。

 一方、児童福祉施設では、子どもたちの食と健康のベースを築くために、食事計画や食育計画を作成し、安心安全な食事の提供および栄養管理を行います。栄養管理だけでなく年齢に応じた食事形態も考慮した食事提供やアレルギー対応を行うこともあります(具体的な対応方法は園によって異なります)。ここ数年の内定状況を確認すると、保育園へ就職する本学の卒業生も増えています。

学校

多くの皆さんが初めて接した栄養士は、学校の栄養士(栄養職員や栄養教諭)だったのではないでしょうか。小・中学校や学校給食センターなどでは、給食の栄養管理や実際に給食を提供するための運営管理、調理場の衛生管理などの業務があります。また学校では、栄養職員として子どもたちに対する食事指導や食育活動をすることもあります。小中学校などで配布されていた「給食だより」のように、対象者が必要とする正しい栄養情報を提供することも重要な仕事となっています。

栄養教諭は、教諭という職名がつくとおり、授業を担当できる「先生」です。栄養士や管理栄養士の免許に加えて、栄養教諭教職課程を履修して修得することで得られる免許で、学習指導要領にも食育についての内容が盛り込まれるなど、教育現場でも各科目を横断する形で食の指導が組み込まれています。

病院

病院などの医療分野では栄養士と管理栄養士の違いが比較的明確になっているといえます。病院では、管理栄養士は栄養サポートチーム(Nutrition Support Team; NST )などの医療チームの一員として栄養管理や食事指導に携わることがあります。医療サポートチームは、医師・看護師・薬剤師・理学療法士などの医療の専門職と連携して高度な栄養管理を行うため、常に最新の医療の知識や技術を学び続けなければなりません。栄養士は、病院などの医療分野においては主にフードサービスなど食事を提供することに関する仕事を担っています。

勤労者福利厚生施設

社員食堂や社員寮、大学の食堂などの学生・勤労者福利厚生施設では、主に健康な人を対象に食事の管理を中心とした栄養管理をします。献立作成・栄養計算や食材の発注、調理作業を中心に、時には調理師やパート・アルバイト従業員に対して栄養学の視点から調理の方法を指導するなど、栄養士が活躍できる場といえます。近年は多様な宗教文化に対応したハラルフードや、ビーガン食への知識も必要とされてきています。 

給食受託会社

ここまでは、その施設と雇用契約を結ぶ就職先として解説してきましたが、実は施設に直接就職するのではなく、いわゆる給食受託会社も栄養士の就職先の一つです。 

WEBサイト等の企業概要などには、コントラクトフードサービス事業などと表記されていることも多いのですが、各種福祉施設や教育施設、病院、社員食堂など法人の食堂(給食)運営等を委託契約(コントラクト)により行なっています。多様な分野の法人と受託契約している会社もあれば、保育園との契約が多い、病院との契約が多い、高齢者施設が多いなど、受託先の分野がある程度決まっている会社もあります。就職先は委託会社ですが、実際に働く現場は、それぞれの施設ということになります。

本学の卒業生も多くの方が就職先として選んでおり、病院、高齢者施設、保育園、社員食堂などさまざまな場所で卒業生たちが日々頑張っています。

食品メーカー

食品メーカーなど企業等を就職先に選ぶ栄養士・管理栄養士の方もいます。ここでは、商品開発やメニュー開発、機能性食品の開発に加えて、企画の立案や試作と試食を繰り返し行う研究開発、さらには市場調査などに携わることもあります。栄養に関する知識を活かして、営業や広報などの部署で働く場合もあります。栄養士か管理栄養士かを問わずに採用され、活躍している方も多くいらっしゃいます。

ドラッグストア(薬局)

お店に来る地域のお客さんに対して、食事・生活習慣の面でアドバイスし、お客さんの健康増進に貢献しています。薬剤師とは別の役割として在籍しており、近年、ドラッグストアでは積極的に管理栄養士を採用しているところが増えています。 

主な業務としては、栄養相談の他、お店に設置している血圧計や体成分測定器、骨密度測定器などを使った測定のサポート、栄養や運動に関する講座の開催、訪問による栄養指導などです。ドラッグストアの栄養士は年々、その役割の重要性が大きくなってきています。厚生労働省の基準に基づく「健康サポート薬局」という、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局が全国でも増えてきていて、ここで推奨されている項目に、管理栄養士と連携した栄養相談会の開催が挙げられています。

今年の春、2022年の管理栄養士国家試験に合格した旨を報告に来てくださった卒業生がいたのですが、彼女の就職先も薬局だと伺いました。

行政・地域 

都道府県や市町村などの地方自治体、保健所や保健センターなども就職先として挙げられます。母子・成人・高齢者などに栄養相談や栄養指導をするなど、地域に密着して実態の把握や指導、技術援助を行って健康推進を図るなど、地域住民の健康づくりに貢献します。また、食環境整備などの公衆栄養を担っていて、調査やイベントを実施することもあります。採用状況を調べてみると、管理栄養士の募集が多くみられます。 

また、行政ではなく個人事業主や栄養ケア・ステーションの一員として、より密着して地域の健康問題を解決する栄養士・管理栄養士もいます。

スポーツチーム・施設

東京オリンピックの開催が記憶に新しく、多くのアスリートの最高のパフォーマンスを見せてもらいました。運動部の部活動に所属している方は、スポーツ栄養分野に興味をもっているかたも多いのではないでしょうか。

 栄養学の知識をスポーツにも活かしていく分野で、スポーツ栄養学の知識をもとに選手の身体や理想のコンディションづくり、けがの予防などを総合的に考え、トレーニングに合わせた総合的な栄養補給の方法などを提案します。

 一流のアスリートやスポーツチームの栄養士になりたいと憧れも強い仕事ですが、実際に職業として活動できるようになるには非常に狭き門といえます。一方で、スポーツ教室やフィットネスジムなど一般のスポーツ愛好家やスポーツをする子どもたちとその保護者を対象に、体力強化や健康づくりのための栄養・食事のアドバイスをすることが栄養士・管理栄養士にはあります。

栄養士・管理栄養士の養成施設、研究機関等

栄養士・管理栄養士の養成施設、研究機関等に勤務する栄養士・管理栄養士の方もいます。大学や短大などの養成施設では先生として栄養士・管理栄養士の育成を、研究機関では食と関係の深い保健・医療・福祉・介護・スポーツ等に関する研究などを行っています。施設・機関によっては管理栄養士の採用を必要とすることもありますが、こちらも栄養士か管理栄養士かを問わずに採用され、活躍している方も多くいらっしゃいます。

その他、近年は、健康志向を取り入れた新しいメニューの開発などを支援する栄養コンサルティングも注目されています。また、飲食店や食品販売会社、美容関連会社においても栄養学の知識は必要とされていて、栄養士としての就職先になっています。

 

【愛国学園短大】卒業生の主な就職先

白衣を着て食事を作る女性

本学食物栄養専攻で栄養士免許を取得した卒業生の主な就職先について、過去5年ほどを振り返ってみました。

栄養士職で就職した卒業生の主な就職先は給食受託会社と保育園が多くなっていました。年によっては、高齢者福祉施設に就職している方もいます。2018年3月卒業生は、9割近くが給食受託会社を占めていましたが、翌年2019年3月卒業生以降は、保育園の栄養士として就職する方が増えてきています。

具体的な就職先については、本学サイト内のキャリア支援ページを参照してください。給食受託会社への実績を一部ご紹介すると、エームサービス(株)、(株)グリーンハウス、(株)メフォス、(株)LEOC、日清医療食品(株)、一冨士フードサービス(株)などへ複数人の就職実績があります。 

貴重な休日に短大に遊びに来てくれた卒業生に仕事のことや同級生の様子を伺ってみると、給食受託会社に新卒として就職すると、はじめに社内で研修期間があるそうで、その後に各種施設への配属先が決まるようです。配属先は、本人の希望や自宅からの通勤距離などをもとに決定されるとよく聞きます。配属先はその会社の受託契約状況にもよりますが、病院、高齢者施設、保育園、社員食堂などさまざまな場所で卒業生たちが日々頑張っています。

 

栄養士の就職先・活躍の場は多数

給食を作る栄養士の女性

今回は、栄養士の主な就職先・活躍の場について解説しました。

栄養士は非常に幅広い職域で必要とされているので、就職先も多岐にわたることがお分かりいただけたのではないでしょうか。さらに、冒頭でも記載したように栄養士の魅力は、生涯にわたって活躍できる場所があることでもありますので、人生100年時代といわれる長い人生を考えた時にもおすすめです。

就職先の中には、法令上の理由や特別の配慮を必要とする対象者に対する業務などの理由で管理栄養士の募集のみの場合もあります。しかし、超高齢社会に突入した日本では、年々平均寿命が延びるのに対し、平均寿命と健康寿命の差は縮小しておらず、国民医療費負担の増加が問題になっていたり、毎日の生活を充実させて楽しみたい高齢者の方が多くいらっしゃったりする中、予防医療や介護予防など健康増進のニーズはこれまでになく高まっているといえます。栄養士は主に健康な人を対象とした栄養管理や食事の管理を行いますので、栄養士の活躍の場はたくさんあります。

 また、2013 年、英オックスフォード大学で AI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズ ボーン准教授が発表した論文が話題になりましたが、AIの発展とともに無くなる職業・生き残る職業で、栄養士・管理栄養士(Dietitians and Nutritionists)は、生き残る職業の11 位にランクされています。これは、栄養士・管理栄養士の仕事は理想の献立を立てるだけではなく、AI機能では図れない一人ひとりに合わせたサービスが要求されることが理由にあると思います。 

愛国学園短期大学の食物栄養専攻では、ニーズに合った献立を提案でき、調理技術に長けた栄養士を育成します。栄養士に必要な考動力(自分で考えて動く力)と実践力を身につけるため、理論と実技を系統立てて学べるカリキュラムを用意しています。また、実習の授業が多いので学校で調理を実践する機会が充実していることも特長です。これまであまり料理をしてこなかったという方でも基礎から学べる調理実習もありますので、どうぞ安心していらして下さい。できるようになりたいという気持ちさえもっていて下されば、これまでの経験ゼロからでも大丈夫です。

最近は、学んだことをアウトプットして実践力や応用力を身につけることに重点をおいていて、産学連携プロジェクト等にも積極的に取り組んでいます。

栄養士以外にも、フードスペシャリスト、フードコーディネーター3級、アスリートフードマイスターの資格取得が可能です。これらの資格は、栄養士に+αでもっていると栄養士としての幅や深みが増し、活躍の場も広くなる資格といえます。栄養管理は完璧でも食べてもらえなければ意味がありませんので、おいしさ(味だけでなく見た目も大事です)やもてなす気持ちも重要であると考えています。また健康のためには栄養と並んで運動も大事な要素ですので、運動と栄養の知識を深めることも推奨されます。もちろん、公務員試験対策・四年制大学への編入試験対策も行っています。個別指導で行いますので、苦手な部分の対策も丁寧にサポートします。

食と栄養および健康に強い関心があって、栄養士になりたいという目標がある方、栄養士に関心がある方は、ぜひ一度本学のオープンキャンパスなどにご参加ください。

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